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映画は人助けをしない

最新映画について書くことはあまりありません。基本的に古い映画について書いています。内容は古さを感じないものにしたいです。

アメリカ映画で初めてLGBTを描いたのはチャップリンである

洋画 LGBT チャールズ・チャップリン

「アメリカ映画」で初めてLGBTが描かれたのは、『チャップリンの舞台裏』(1916)だと言われている。


Charlie Chaplin - Behind the Screen

男装したエドナ・パーヴァイアンスとその正体に気づいたチャーリーがキスをしている場面を目撃した大男が2人をゲイだと勘違いし、揶揄するというシーン(17:27〜)がそれである。

チャップリンは寄席芸人時代に差別ネタを得意としており、これが初期チャーリーの嫌らしい性格に反映されているのだが、このシーンは肯定的とも否定的とも取れないような演出がなされているように思える。単純に恋愛をからかわれたことへの怒り、ゲイだと勘違いされたことへの怒り。どちらも無理なく受け入れることができる。当時のチャーリーは女性にいやらしく弱者をいじめる男だったので、否定的な描写だとすべきだろうか。後に世界中から愛される男が寄席芸人のアイデンティティを作品に大いに反映させていた頃の表現である。

チャーリーが聖人的な性格になったのは、ファーストナショナル社での第一作『犬の生活』(1918)以降と考えられている。ここをキャリアの転換期として捉えるのが主流の考え方のようだ。「チャーリー」というキャラクターがどのような経緯で『犬の生活』に至ったのかについてはいずれ書く。本当に嫌な奴だったのだ、特にキーストン社時代のチャーリーは。

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(写真 嫌らしく見える笑顔)

ちなみに、「映画」で初めてLGBTが描かれたのは、リュミエール兄弟のシネマトグラフに先行してキネトスコープを発明したエジソン社のウィリアム・K・L・ディクソンによる実験映画『The Dickson Experimental Sound Film』(1894)である。2人の男がダンスを踊るだけの単純な描写だが、後に男同士のダンスがゲイ差別を元にしたギャグとして映画に登場するようになることを考えれば、初のLGBT映画と断言していいだろう。

『The Dickson Experimental Sound Film』は世界初のサウンド付き映画でもある。以下の動画の音楽は後付ではない。


Dickson Experimental Sound Film (Edison - Dickson - Heise - 1894)

バイオリンを弾いているのはディクソン本人。なぜ男同士がダンスを踊っているのかは不明だが、当時は特に珍しい行為ではなかったそうだ。ゲイが同性愛を意味する言葉ではなかった時代のLGBT表現である。

 

Edison: Invention of the Movies [DVD] [Import]

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 エジソン社で制作された映画約140本をまとめたDVD。とても興味深いのだが、いかんせん値が高い。ちなみに、エジソン本人は一度も映画を作らなかった。