映画は人助けをしない

最新映画について書くことはあまりありません。基本的に古い映画について書いています。内容は古さを感じないものにしたいです。

洋画

フリッツ・ラングはクソ野郎だ!「スカーレット・ストリート」

フランスの巨匠ジャン・ルノワールの傑作『牝犬』(1931)。 冴えない銀行員が偶然知り合った若い女性に熱を上げ、現実逃避の末に破綻する姿を描いた映画だ。 この映画の魅力は、なんだか憎めない登場人物と監督の「人間ってダメだけどそこがいいよね」と言っ…

行方不明映画の系譜〜『バルカン超特急』から『チェンジリング』まで

ヒッチコックの代表作のひとつ『バルカン超特急』(1938)は革新的な設定の映画だった。 The Lady Vanishes - Trailer 走行中の列車内で行方不明事件が発生し、乗客の誰もが行方不明になった老婆のことを知らないと言う。主人公だけがその存在を知っている。古…

アメリカ映画で初めてLGBTを描いたのはチャップリンである

「アメリカ映画」で初めてLGBTが描かれたのは、『チャップリンの舞台裏』(1916)だと言われている。 Charlie Chaplin - Behind the Screen 男装したエドナ・パーヴァイアンスとその正体に気づいたチャーリーがキスをしている場面を目撃した大男が2人をゲイだ…

ワンカット映画の嚆矢『ロープ』を撮ったヒッチコックの結論

1948年に公開されたアルフレッド・ヒッチコックのサスペンス映画『ロープ』は史上初のワンカット映画ということになっている。実際は2度カット割りがあるし(3幕構成の2幕、3幕の開幕を告げるカット割りになっている)、当時のフィルムは最長で10分ほどしか…

スタンリー・キューブリックが完璧主義者になった理由

偉大な映画作家スタンリー・キューブリックは、チャールズ・チャップリンとセルゲイ・エイゼンシュテイエンを尊敬していたと言われている。2人とも完璧主義者として知られている監督であり、キューブリックもまた完璧主義者だ。 彼は『ロリータ』以降のすべ…

フリッツ・ラング『M』の音の効果

ドイツ映画の巨匠フリッツ・ラングの代表作の一つである彼の初のトーキー作品『M』(1931)は今見てもとてもおもしろい。 トーキー初期の映画には伴奏がないため、映画作家たちは音の効果に工夫をこらしていた。冒頭のシーンが特に印象に残る。ピーター・ロー…