映画は人助けをしない

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スタンリー・キューブリックが完璧主義者になった理由

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偉大な映画作家スタンリー・キューブリックは、チャールズ・チャップリンとセルゲイ・エイゼンシュテイエンを尊敬していたと言われている。2人とも完璧主義者として知られている監督であり、キューブリックもまた完璧主義者だ。

彼は『ロリータ』以降のすべての作品で監督・脚本・制作を兼ねている。思いのままの映画を作るワンマン作家と言えるだろう。なぜ彼がこのようなスタイルで映画制作をするようになったのか?

原因は『スパルタカス』である。

主演のカーク・ダグラスが制作を兼ねていたこの映画は、ダグラスが完全にイニシアチブを取っていた。『突撃』でダグラスと組んだキューブリックは実力を認められ適用されたお雇い監督にすぎなかったのである。

自らのアイデアが採用されず、ダグラス主導の現場に辟易したキューブリックは、以降、自らがイニシアチブを取る映画しか作らなくなる。その結果、『博士の異常な愛情』のような生き過ぎたブラックユーモアが実現し、説明ナレーションをすべて却下し極めて抽象的な内容になった『2001年宇宙の旅』や、演技指導のために呼んだ中年男を俳優として起用し大成功を収める『フルメタル・ジャケット』、ジャック・ニコルソンのアドリブに合わせて脚本が書かれた『シャイニング』などの個性的な傑作が生まれたのだ。

キューブリックは天才だ。しかし、その才能を開花させたのは『スパルタカス』の現場で暴君として振る舞ったカーク・ダグラスなのである。

 

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